一般的には旧サーバから新サーバへのWordPressのサイト移行作業は本人で行う事が多いです。しかしKinstaの場合は「KinstaサポートスタッフがWordPressの移行作業をお手伝いしてくれるサービスが存在します」今回は実際に旧サーバにて運用していたWordPressサイトをKinstaに移行するステップを説明します。
さっそくMyKinstaから新規WordPressサイトの作成へと進みます。
サイト移行の申請
今回の移行対象のWordPressサイトはまさにこの「Kinsta 徹底解説」のです。この移行サービスのレビュー記事を執筆するために事前に別環境のレンタルサーバ上にWordPressを構築しています!
KinstaでWordPressサイト作成
WordPressサイトを作成する際「新規で空のWordPressサイトを作成するか」「サイト移行する」かの2種類を選択できます。今回は後者になります
“他のサーバからKinstaにサイトを移行する事ができます。Kinstaのエンジニアにお任せいただくことも可能です。“ なんとも頼もしいメッセージです。
「移行申請」のプラン
なんと移行申請にも複数のプランが存在しておりました。
- プレミアムサイト移行(100ドル)
- 標準サイト移行
「標準サイト移行」とは
移行元のWordPressホスティングサイトが以下に該当する場合は、プレミアムサイト移行ではなく無料のサイト移行をKinstaが対応してくれるらしい。しかしどれも海外のホスティング会社であるため馴染みがありません。
- A2 Hosting
- Bluehost
- Cloudways
- DreamHost
- Flywheel
- GoDaddy
- HostGator
- Pagely
- Pantheon
- SiteGround
- tsoHost
- WP Engine
- WPX Hosting
ここで1つ疑問が生じました。「100USD」という文字。契約したプランは年払いの「Starter Annual」です(下記画像参照)。そのため1プレミアムサイト移行がセットでついているはずです。しかし画面には 100 USDでご提供中の文字が。どういう事でしょうか… 困った時は 24時間いつでもサポートチャットにお問い合わせしましょう!
不在でした!
なんとアカウント関連サポートチームへの問い合わせは午後10時までしか対応していないようです。
とりあえず画面には100ドルと表示されちゃっていますが、後ほど無料対応に変換される事を信じてこのまま進めていきましょう。
プレミアムサイト移行の説明を読む
いざプレミアム移行申請を次の画面へ進めてみると、そこにはみっちりと説明が書かれていました。よくみると…
「プレミアムサイト移行クレジットをお持ちの場合は、サイト移行のお支払いの際にお使いください。1回の申請ごとに1件のWordPressサイトのKinstaへの移行をご希望頂けます。」
う〜ん。とりあえず進めていきましょう。(※この件は後ステップで問題解決しました)
移行申請の説明をもっと読む(申請フォーム)
移行申請するための入力フォームがこの後の画面で出現します。そこである程度の移行元WordPressの基本情報を入力し移行作業をお手伝いしてくれる Kinsta サポートチームへ情報提供し正式依頼する流れになります。特に「ログイン情報の記載は事前に確認してください」の注意書きはリアリティがあります。
提示したパスワードは後で変更されるようですね。
移行は1営業日で完了する流れだそうです。想像以上に早いですね。作業日を指定することもできるようです。
移行元サーバ情報の入力
ここから移行元(現在WordPressが稼働している)サーバについての情報を記載していきます!Kinstaチームの手を煩わせないように慎重に記入しましょう。それにしても、移行元レンタルサーバの選択肢の量がすごいです。
サーバへのログイン情報を入力
今回はどれにも該当しない「Other」を選択。移行元サーバの各種情報を入力しKinstaサポートが作業できるようにミスなく記入していきます。
移行元サーバがAWSだった場合
ちなみに、移行元サーバがAWSだった場合は以下のようなSSH情報を入力する事になります。
- ご利用のSSH公開鍵
- これは「既に存在するユーザのSSH秘密鍵をそのまま教える」という事になります。
- KinstaのSSH公開鍵をAWSに追加する
- これは「 既に存在するユーザの公開鍵にKinsta側の公開鍵を追加してね」という事になります。
不明な箇所はスペースでOK(裏技)
- サーバパネルログインページURL
- ユーザー名
- パスワード
これらの項目について「何を入力すべきか不明」でしたので Kinsta サポートチャットに即座に問い合わせしてみました。↓回答
“If you do not know all the exact details, you can leave an empty box just enter SPACE button inside, our team needs either a SFTP/SSH or wp-admin access to migrate it 🙏“
なんと「不明な項目はスペースを入力してね」との事。裏技ですね…入力必須な項目ですが本当にスペースだけで次の画面へ進行できました。Kinstaサポートありがたや。
移行元サーバのWordPressサーバ情報の入力
次に WordPress 情報の入力コーナーです。引き続きミスなく入力していきましょう。
Kinstaに移行後の補足情報を入力
WordPressをKinstaへ移行後、MyKinsta上にて取り扱う基本情報の入力。サイト名やデータセンターなど。データセンターはもちろんTokyoが選択できます。
また移行作業を行う日についても選択肢があります。
- できるだけ早く移行を開始する
- 今回はこちらを選択しました。
- 特定の日にサイト移行を実施する
- 事前にユーザへの告知が必要・社内調整が必要な場合はこちらを選択し特定の日に絞る事も可能なようです。
またKinstaサポートへ事前に伝えておきたい要望・備考の入力欄もあります。もし気になる点が少しでもあればここに記載しましょう。
最終確認
ようやく確認ページです。ここで再度依頼内容を確認しましょう。問題なければ完了ボタン!
完了チャットが自動で届く
申請完了後は自動応答チャットが届きます。このあとのステップについて記載されています。また現時点から旧WordPress上にてコンテンツの追加や更新はしないようにしてください。これから新環境へコピー(移行)するのでタイミングによっては消失することになります。
再度の共有ですが最終的なサイト移行完了には「DNSレコードの変更」の作業が必要になります。そのため「寝ている間にKinstaでWordPressが動作している!」という事にはなりません。DNSレコードの変更タイミングはWordPressコンテンツのKinsta側へのコピーが完了してから改めてKinstaサポートとやりとりしながら対応する流れになります。
それと100USD の請求額について問い合わせしたところ、何と不具合が発生していたという事で返金して頂きました。安心しました。
Kinstaへのコピーが完了
翌日 MyKinstaのWordPressサイトページをのぞいて見ると、なんともうWordPressコンテンツのコピーが完了していました。Kinstaサポートからもその旨のチャットが届いておりました。
サイトプレビュー
この段階でKinstaにコピーされたWordPressの事前動作確認が可能です。実際にはKinstaツールに存在するサイトプレビュー機能です。今回はサイトプレビュー機能の詳細説明は割愛させていただきます。
ドメイン設定(ネームサーバ)
そしてここからが本当のサイト移行に影響する重要なステップです。まずはドメイン登録を行なっていきましょう。
DNSレコードの調整については以下の2パターンに分かれるかと思います。
- パターン1(ドメインのAレコードのみをKinstaに向ける)
- 既存のドメインレジストラにてDNSレコードを管理しつつドメインに紐づくIPアドレスのみKinstaを参照する
- (既存のレジストラにてメールのMXレコードなどの管理をそのままにしておく必要がある場合など)
- パターン2(ドメインのネームサーバをKinstaに向ける)
- 既存のドメインレジストラにてネームサーバ自体をKinstaが提供するネームサーバに置き換える方法。こうすることでDNSレコードの管理もKinstaのDNSレコードマネジメントページを利用できるようになります。今回はこちらを採用しております。
DNS管理用のドメインをKinstaに追加
サイドメニューの「DNS」からドメインを追加します。
ドメインを追加後に、ネームサーバが発行されました。認証処理前なのでまだ「バツ」マーク状態になっております。このあと認証ステップが完了後に成功(グリーン)マークに変化する流れになります。
発行直後はもちろんまだ「wp-works.jpは、KinstaのDNSマネジメントサービスで管理されていません。」という状態です。
発行された値をみるとAWSを利用しているようですね。これまた質問してみました。
“KinstaはホスティングにGCPインフラを、プレミアムDNSにAmazon Route53を使用している👍。”
なるほどなるほど。次に進みましょう。
既存レジストらのネームサーバをKinstaに変更
ドメイン購入先にてネームサーバをたった今発行したばかりのKinstaのネームサーバへ変更します。
※注意点)既存レジストラ上にて管理していたDNSレコードは全てKinsta側へ事前にコピーしてください。ネームサーバを変更することで既存レジストラ上のDNSレコードは一切参照されなくなります。
ネームサーバの変更完了
無事ネームサーバがKinsta DNSで発行したネームサーバを参照するようになると、画面が以下のメッセージに変化します。また次のステップに進みましょう。
「wp-works.jp」はKinsta DNSにより管理されています。
ドメインの確認作業
ネームサーバの設定が完了したら次は、対象ドメインの認証作業に移ります。サイドメニューの「ドメイン」にアクセスすると、ステータスにて「ドメインが公開されていません」という表示が確認できます。
「ドメインの確認」ボタンからステップを進めましょう。まずは「ダウンタイムを避けるためのAレコードの追加」
DNSレコードの追加作業は、MyKinstaのDNSページから行います(さっきネームサーバをKinstaに変更したからですね)
次にTXTレコードとCNAMEレコードの追加。さきほど同様の手順でDNSレコード(TXTとCNAME)を2つ追加しましょう。
3つのDNSレコード設定完了
ドメインの確認処理中
その後、ドメインページに戻ると「ドメインの確認処理中です」に変化しました。少し待機です。
ドメインの紐付け作業
数分待つと自動でステータスが変化しました。次は「ドメインの紐付け」ステータスです。引き続き進めていきましょう
AレコードとCNAMEレコードの設定
再度DNSレコードの設定です。これが最後の設定になります。改めて画面の指示のままAレコードとCNAMEレコードを登録してください。Aレコードは先ほどすでに一時的に設定したレコードが存在していますので今回の指示のAレコードに修正してください。
CNAMEレコードは新規追加でOKです。
ドメイン紐付けの確認中
その後ステータスが変化します。「ドメインがKinstaに紐づけられていることの確認」再度このまま待機しましょう。
ドメイン紐付け完了メールが届く
5分もしないうちに確認完了メールが届きました。
移行完了
おめでとうございます。これにて無事移行が完了したことになります。色々と確認していきましょう。
アクセスログ
サイドメニューのログからアクセスログを確認してみましょう。しっかりとアクセスが流入している事が確認できます。
レスポンスヘッダの変化
Kinsat移行後にサイトのレスポンスヘッダを確認してみました。そうすると Kinsta 関連のヘッダ項目が追加されている事が確認できます。X-Kinsta-Cache : HIT はまさにKinstaキャッシュからレスポンスしている事の証拠ですね。写真左(移行前レンタルサーバ)・写真右(Kinsta)
まとめ
以上でWordPressサイトを旧サーバから新サーバ(Kinsta)への移行作業の完了となります。かなり細かく説明しましたが、全ステップを1日以内で終わらす事は全然可能です。しかし後半のDNSレコードの調整については移行作業者が変更する権限をもっておらず別の管理者に依頼する必要がある場合などはもっと時間は要することになります。
プレミアム移行サービス
今回は「プレミアムサイト移行サービス」の説明をしましたが、Kinstaにサポートしてもらった部分は「WordPressサイトをKinstaにコピーする」というステップのみになり、その他の操作は自分自身で画面のナビゲートを確認しながら進めていきました。(再三の説明になりますが)それはKinstaサポートがDNSレコードを調整する事は不可能だからです。
また「プレミアム移行サービスを利用しない場合」は、自分で旧サーバ上からWordPressコンテンツ一式(メデイア・DBデータなど)をKinstaに持ってくる必要があり、移行作業慣れしていない場合はうまくいかない可能性があります。そういった意味ではプレミアム移行サービスというプロフェッショナルに任すことができる点は大変ありがたいです。
また今回の一連の作業ステップ途中において生じた疑問点などはすぐにKinstaサポートにリアルタイムチャットにて質問してきました。そしてそれぞれ回答をもらいながら進行できたというポイントはKinstaサポートがかなり頼りになる証拠となりました。(Kinstaサポートのフットワークの軽さと応答は素晴らしいです。)
もしKinstaについて少しでもご興味をお持ちでしたら、公式パートナーであるMOOBONまでお問い合わせください。
お問合せ先:info@moobon.jp 担当:南 or 西川